養育費のしくみと手続き
養育費とは…
養育費とは、子どもを監護、教育するために必要な費用のことをいいます。一般的には、未成熟子が自立するまでに要するすべての費用です。これには、「衣食住・教育費・医療費・最低限度の文化費・娯楽費・交通費」などが含まれます。
養育費は、子どもがもつ権利です。これは親子の身分関係から発生するものですから、どちらに親権があるかとは無関係に、父母の資力に応じて分担しなければなりません。ですから、子どもと一緒に生活しない親でも養育費を支払うことになります。
養育費はどのように決まる?
養育費は子どもの人数、年齢、成長に伴ってかかる費用を想定し、お互いの財産や今後の収入、経済状態などを検討して決めます。
養育費は分割して支払うことが多いので、支払の期間、1回の支払額、支払方法について具体的に取り決めておく必要があります。
当事者間で取り決めたことは、離婚協議書などの合意文書に入れて、書面に残しておきましょう。個人の合意文書だけでは法的な強制執行力はないので、内容を強制執行認諾約款付きの公正証書にしておくとよいでしょう。
養育費に関して話し合いで決まらない場合は調停を申し立てることができます。それでも決まらない場合は、審判、裁判というように決定するまで進めていくことが大切です。
養育費はいくらもらえる?
養育費の額は、一般的にいくらということはできず、それぞれの親の資力、生活水準によって異なります。ただ、最近では「養育費算定表」を目安に金額を決めることもあります。
まず、子どもの人数、年齢によって使用する算定表を選び、父親と母親の年収の交わったところが養育費の目安となります。
期限は、子どもの進学なども考慮しながら、お互いの間で話しあって決めます。
養育費の8割は不払い?
離婚時に養育費を取り決めても、1年以上養育費を払い続ける元夫は全体の2割しかいないのが実情です。養育費は長年に渡って支払うことになるのですが、借金がある、仕事がないなど、事情の変化を理由に支払がストップしてしまうことがあります。
養育費の不払いを防ぐために
養育費の不払いを防ぐためには、話しあって取り決めた内容を必ず調停調書や公正証書を作成しておきましょう。
公正証書があれば、元夫の給料などから強制的に取り立てることができます。養育費の強制執行については、法改正により平成15年から将来分についても有効になりました。つまり、1回の強制執行の手続きをすれば、その後は強制的に継続して養育費を取れるようになります。
強制執行の手続きは、養育費の支払いが滞ったら裁判所に連絡し、履行勧告を相手に出してもらいます。その後、裁判所は手紙等で相手と連絡を取り、支払期限を決めます。その期限を過ぎても支払われない場合は、強制執行となります。
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