離婚の基礎知識
調停離婚
自分は離婚したくても、相手が離婚を拒否している場合や、離婚には双方が合意していても親権の取り合いになってる場合、財産分与・慰謝料・養育費などの話し合いがつかない場合に家庭裁判所に「離婚調停」を申し立て、家庭裁判所で離婚に向けての話し合いをします。
調停では、裁判官と男女各1名の調停委員が夫婦間に入り、双方の意見を聞きながら、話し合いを進めます。話し合いが進み、調停で夫婦が離婚に合意すれば「調停離婚」が成立します。
離婚調停を申し立てるには「夫婦関係調停申立書(離婚)」を作成し、家庭裁判所に提出します。提出後「期日通知書」が、夫と妻の双方に郵送されます。
第1回目の調停期日は、家庭裁判所が決定し、その日時にいけない場合は「期日変更申請書」を提出し、期日を変更してもらってください。正当な事由がなく呼び出しに応じないと、5万円以下の過料を支払うことになります。
調停は、大半は約1ヶ月間隔で数回にわたり開かれます。調停離婚が成立した場合は、調停調書の謄本を添付し、市区町村に離婚届を提出してください。
どちらかが離婚に合意しない場合、養育費や慰謝料などについて話し合いがつかない、相手が調停に来ない場合は、調停は不成立となり、調停離婚はできません。
■調停の申し立て
調停離婚をしたい場合は、家庭裁判所に「離婚調停の申し立て」をします。申し立てをする場合は、「夫婦関係調停申立書(離婚)」に必要事項を記入し、必要書類を添えて、家庭裁判所に提出するだけです。
調停離婚は、どのような理由でもかまいません。夫婦関係を破綻させた本人から申立てをすることもできます。
申立書の提出先は「相手方の住所地の家庭裁判所」または「夫婦が合意で定める家庭裁判所」になります。
■離婚調停
申立てをすると、家庭裁判所から「期日通知書」が届きます。その指定された日時に家庭裁判所に行くことになります。調停には、原則として本人が行きます。ただし、代理人として弁護士に出頭してもらうことも可能です。弁護士以外の人が代理人となる場合は、裁判所の許可が必要となります。
調停は、夫と妻が交互に調停室に呼ばれます。第1回目の調停には、裁判官と男女各1名ずつの調停委員が同席します。
調停が開始すると、調停委員が質問をしてくるので、それに対し「離婚の理由」や「慰謝料の請求額」など、自分の状況や希望を伝えます。調停委員に伝えたいことは、事前にメモや書面にしておくといいでしょう。
調停委員は、夫婦の言い分を聞いたうえで、アドバイスや解決案を提示してきます。これは、強制ではないので、調停委員のアドバイスを聞き、自分で判断してください。
■調停離婚の成立
調停による話し合いで、離婚に合意ができたら、夫婦そろって調停室に呼ばれます。
そして、離婚することや養育費・慰謝料・財産分与など、調停でお互いが合意した内容を家事審判官が読み上げます。この内容に問題がなければ、内容は「調停調書」に記されます。この時点で調停成立となります。
調停調書の内容は、後で訂正することはできないので、内容をよく確認してください。
調停調書に記載された内容は、法的な強制力があります。養育費など、調停調書に記載された内容が守られない場合は、裁判をせずに強制執行をすることが可能です。
調停で離婚が成立した後、離婚届を提出します。離婚届は、調停を申し立てた人が調停成立の日から10日以内に提出します。このとき「調停調書」の謄本が必要になります。提出先は、本籍地または住所地の市区町村です。本籍地以外に提出する場合は、戸籍謄本1通が必要になります。調停離婚の場合は、協議離婚と違い証人の署名は必要ありません。また、署名・押印は、調停を申し立てた人のものだけでもかまいません。
申立人が10日以内に離婚届を提出しない場合は、相手方が提出することも可能です。
なお、調停離婚の場合は、離婚届を出した日ではなく、調停成立の日が離婚をした日となります。